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これからの100年に向けての第一歩

言うまでもなく造園業は斜陽産業である。
こと「庭をつくる」ということに関していえば、一昔前からすれば、考えられないくらい減ってきている。

現在の庭と言えば、隣地との境界にブロック塀とフェンスをつき、
玄関前に駐車場をコンクリートで打ち、既製品の門柱の横に、
ハウスメーカーの営業さんから言われたのだろうか、
申し訳なさそうに、シマトネリコが1本立っている。
個人的には無機質だと思うが、新しい団地にはどこもこういった有様である。

しかし、これは誰が悪いわけでもなく、
需要と供給の落ち着くところがこの姿だと思っている。

古い時分の庭は”嗜好品”であった。
灯篭があり、大きな景石が座り、仕立物のマツやマキが数多く庭に植えられ、
年に数回、庭師さんが手入れしにくることは、ある意味ではその家のステータスでもあった。

しかし、時代は変わった。
核家族化が進み、家族というユニットがコンパクト化した。
家族は減ったが、車は増えた。
地方では、成人すると1人1台の所有が当たり前となった。
管理のいる仕立物のマツやマキを所有することはステータスではなくなったし、
その予算があれば駐車場を1台分増やすようになった。

誰が悪いわけでもなく、時代が変わり、環境が変わり、家が変わり、そうなったのだ。

では今、我々はどうあるべきか。
私はそんな時代でも庭を作りたいと思っているし、
後世のためにも作らなければならないと思っている。

しかし、適者生存というのは自然界のみならず、
我々の業界においても例外でないだろうことは十分承知している。
現在の構造物にそぐわないものでは需要はにない。

御用聞きにあらず、展覧会にあらず。
お施主さんの言いなりになり過ぎてはいけないし、
自己満足だけの展覧会であってはならない。

自動車のフォードの創始者のヘンリー・フォード氏がこんなことを言っている。
『もし顧客に、彼らの望むものを聞いていたら、彼らは「もっと速い馬が欲しい」と答えていただろう』

交通手段が馬車だった時代、自動車を知らない人々は、早い馬を求めていたが、
「自動車をつくってくれ」とは言わない。自動車が世にないからである。

我々の業界もそうである。お施主さんの言われたものを作るだけでは、
数多ある”外構業者さん”の1社でしかない。
要求に応えるのではなく、要求を超えるものを提供する。
そのためには、日々の修練と、前衛的な発想を養うために、
様々なものに触れなければならないと考えている。

さて、適者生存のこの世界の中で、庭は暮らしに彩を添えるものであるべきだと思う。
生活する人が楽しく暮らすためことが大前提である。

使い古された言葉ではあるが、家と庭があり家庭である。
ハウスメーカーさんや工務店さんと我々はお施主さんの幸せな空間を作るという意味で同志である。
しかし、最近はハウスメーカーさんや工務店が圧倒的な力を持っている気がしている。
建物を建てる際には、構造物ありきで外回りはあまり考慮されていない。
いざ我々に話が来た際には、予算もないし、スペースもないということもある。

周辺環境も昔とは違うので、一概には言えないが、我々職人の立場が弱まっていることもあるだろう。
人は既製品を求めるようになったし、既製品もどんどんユーザーが求める形になり、
デザインも御洒落になり、使い勝手も増している。
昔の家によくあったアプローチの石畳はオシャレなタイルにとって変わった。
どんどん我々の活躍する土俵は減ってきている。

しかし、悲観しても仕方がない
。 この状況を打開するには、全国の造園業者が良い庭を造り続けることだと思う。
近所に良い庭があり、欲しくなる。家を建てたときにはあんな庭が欲しい。
そういったある意味草の根運動的なものではあるが、良いものを作れば必ず広がっていくと信じている。
この仕事を始めてからずっと私は”緑の魔力”に憑りつかれている。
店舗にしろ、民家にしろ、緑を入れたとき、空間は劇的に変わる。
皆さんの多くは実感されているだろうが、多くの人にこの”緑の魔力”を伝えたいと思っている。
木には四季折々の表情があり、夏の強い日差しを遮り、豊かな住環境を提供してくれる。
既製品とは違って生きているので、植えたときには腰丈ほどの木もいつかは自分の背丈を超えていく。
そこには、"時間軸"があり、家族での記憶とともに木は成長していく。
まさに、”緑の魔力”である。

最後に、言葉を選ばずに言うと私はこの業界の社会的な地位を押し上げたいと思っている。
それは富や名声ではない。次世代の庭師が自由に楽しく庭をつくるためである。

自分で設計した図面が実際に出来上がるのは本当に楽しい。
自分で施工したなら猶更やりがいを感じるだろう。

しかし、このままでは我々の技術や知識は活躍する場面が減り、失われていくだろう。
私は我々のこの失われていく技術に誇りと自信を持っており、次世代につなげていきたい。
そのために我々は今日も良い作品をつくらなければならない。
そして本物の庭づくりを一過性のブームではなく文化として根付かせたい。

坂本利男

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